さりげなくニュース2013.6.30
米中首脳会談が6月7日開催された。オバマ大統領は中国に対してハッカー攻撃を鋭く糾弾した。中国は通信を盗み取るとんでもない国だと主導権を握った。その会談から数日もしないうちに香港からとんでもない暴露が飛び出した。オバマの中国批判を吹っ飛ばす程の地雷を含んでいた。
元CIA職員スノーデン氏による暴露であった。それは、PRISMの存在の暴露であった。もう少し敷衍する。米政府によるネット、電話に対する極秘監視情報収集プログラムの存在のことである。簡単にいうならば、グーグル、ヤフー、フェイスブックなどの民間通信会社のサーバーに勝手に入り込んで世界の個人の情報を盗み見るプログラムのことである。もっとかいつまんで言えば、他人の個人情報を無断で盗んでいたということである。情報の世界ではさもありなん、何も驚くことには値しないことなのかもしれない。むしろ年収20万ドルの報酬をなげうって、しかも恋人との別離を覚悟で国家の機密情報を暴露したスノーデン氏は、英雄なのか、それとも国家反逆罪で起訴されるのが相当なのかということになる。
外交機密を暴露したアサンジュ氏のケースもある。理念に燃えた英雄的な面が濃厚であったことを考えると、スノーデン事件をスパイ説では処理し得ない。あるいは29才という年齢から、中国に憧れを持つ左翼青年の一字で片付けなしえない面もありえる。今後の動向が注目される。氏は、アイスランドへの亡命を希望していた。しかし、4月の政権交替で中道右派に変わったこともあり難しそうだ。変わって最も反米色の強いエクアドルに落ち着きそうだ。
ソーシャルネットワークサービスSNSはその機能の便利さゆえに、その利用と引き換えに個人の名前から、生年月日、学歴その他、多種類の個人情報を提供している。それがめぐりめぐってアメリカ政府によって全部盗み見られているということに皆が不感症になっている。現代の情報風景とはかかるものである。
大きく本題からそれた。
これまで続けられてきたQEすなわち、アメリカの量的緩和政策が緊縮へと舵が切られそうな雲行きである。バーナンキがどれだけタフに演説しようが、その底部に含まれる機微に注目を要する。
長らくジャブジャブと資金を流し続けてきた延命バブルは、10年後、20年後に利払いに耐え切れないと肌で感じ始めた。このままでは、破綻を避けるためのみの金融政策となりかねないことへの危機感である。このことは、これまでのQEに慣れ親しんだマーケットにも強烈なインパクトを与えずにはすまない。
この秋にアメリカは本格的に、緊縮に舵を切ったとする。バサバサと揺さぶる枝から振り落とされずに果実のままでありえる国がどれだけあるか。激震が走るのはまちがいない。
わが国はアメリカに遅ればせながら、今QEまっしぐらである。国の借金である国債の暴落がおきないのは、国にそれ相応の資産があるからに他ならない。しかし、限度と言うものがある。GDPの160%の国債残高は、暴落と背中あわせである。一番に困るのは、国債を多量に保有している銀行、証券である。貸し出しが存在基盤である銀行がその職務を放棄して国債を買い続けたそのつけは、なんらかの形で来るはずだ。そのとき準備をおこたった金融機関の何割かは淘汰されることになる。