さりげなくニュース2013.2.24
今回の北朝鮮による核実験は多くの示唆を与えてくれた。アメリカ本土を核攻撃できる破壊力を持つことを公言してはばからない北の姿があった。
これまでに何度も北をアメリカは武力攻撃する機会はあったはずだ。今回の核実験で、北は決定的に確信したはずだ。アメリカによる軍事攻撃はわが国には今後一切ないということを。
裏を返せばアメリカは中国と一戦を交える意図は今後にあってもないことを内外に宣言したようなものである。それは、伝統的な核保有国同士の戦争は暗黙のうちに避けるという戦後体制が再確認された一瞬である。
北の問題は、アメリカが中国に下駄をあずけた六カ国協議に移ったときからのシナリオであったに違いない。
わが国の場合はどうだろうか。アメリカがわが国に軍隊駐留を確かなものとするための条約が日米安保条約と言い切ってもそう大きな間違いではないと思うが、はたして東アジアの衝突においてアメリカはこの安保条約をもとに参戦するのか、またその能力があるか。大方の人は否定的に感じているのではないだろうか。尖閣問題にあって中国側からの准軍事的ジャブが投げかけられている。中国が事をエスカレートさせるのは、わが国の動きであるというよりは、アメリカの出方につきる。この問題に対してアメリカが中立的立場を鮮明にしたら、中国は尖閣を軍事占有する動きにでるかもしれない。
ここにいたってわが国の防衛意識は一気に高まり、核武装が日程に上ることになるはずだ。領土問題で簡単に敗れるということは、それこそ、内閣が何個か潰れることですまされるものではない。国民のアイデンティティが問われる問題でもある。
わが国の支配体制である官僚機構の権力の源泉はアメリカのバックに支えられてのものである。その面から考えてみると、アメリカの軍産複合体と利害は一致する。北問題を初め、方々で紛争が絶え間なく続くことがベターである。
現在のオバマ政権は、二つの石油戦争で疲弊した国内の経済建て直しに第一のプライオリティがある。
ドルは、世界から疑心暗鬼に見られ始めている。歴史は繰り返すのか、60年代後半に、フランスは、アメリカに預けていた金塊の返却を申し出た。それが引き金となり、3年後にブレトン・ウッズ体制は崩壊した。ニクソンは、金との交換を停止した。
今同じようにドイツ、ブンデスバンクはニューヨークに預けている金塊の返却を迫っている。アメリカの金庫にあるはずの金塊がほんとうにあるのかどうかは、誰も確かめようがない。あると言われればある。それが信頼と言う言葉の意味である。
ドルが不信の目で見られ始めたのか、諸外国の外貨準備に対する金の比率を増やす動きが顕著になってきた。世界の外貨準備11兆ドルの三分の二を有するアジア、特に中国は金での所有を2%に増やそうとしているし、ロシアは10%にもっていこうとしている。湾岸諸国や、ラテンアメリカにも同様な動きが出始めている。
2012年、金が正味で500トン以上、準備金として加わった。だからといって、昔の金本位制にもどれるかといえば、それは、ありえない。フローが高度に拡大している現代にあって、金の新たな役割は、第三の通貨として、デバリューの小手先を演じないものとして登場する可能性はある。