さりげなくニュース2013.10.13

  
  ドイツ連邦議会選挙はこの9月22日に行われた。ドイツ一国の趨勢を左右するというだけではなくヨーロッパの方向性を左右しかねない重要な選挙であった。
 
  ドイツの下院選挙の特徴は得票の比例配分式で、5%の得票率に届かないと議席数はゼロということにある。過半数は315議席数である。結果的に単独過半数を獲得した党はなかった。そのことは、当然に連立を組んで政権を担うことを意味する。
 
  これまでの政権運営は最大与党であるメルケル率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU)と自由民主党(FDP)の連立で担ってきた。ところがFDPは前回14.6%の投票率を獲得していたが今回4.8%と議席を得ることが出来なかった。わが国で言えば民主党の垂直まっさかさまの下落に相当するものであった。それでメルケルは野党第二党である、今回192議席を獲得した社会民主党(SPD)と連立を組むのではないかと見られている。
 
  野党はその他に東ドイツ時代からの左派(64議席)と緑の党(63議席)がある。
 
  メルケルは脱原発に舵を取った一点では緑の党との政策一致点はあるものの連立の可能性は低いと見られている。
 
  今回の選挙で注目しなければならなかった党に「ドイツのための選択肢」(AfD)があった。この党は、ドイツのユーロからの離脱を主張に掲げている。ドイツ市民がどのような判断をくだすのか注目の的であった。党首のアレクサンダー・ガウランドはロシアとの関係に細心の注意が必要だと主張している。これはドイツの底流に面々と流れ続けているビスマルクへの回帰願望の流れと見ることも出来る。オーストリアーハンガリーとロシアのいざこざにはドイツはニュートラルであり、ドイツとフランスのいざこざにはロシアはニュートラルであるというビスマルクとロシア皇帝との秘密協定である。
 
  ドイツはユーロ圏の担い手として最重要国であり、ドイツがユーロを担う意思を減少させたなら、ユーロそのものが崩壊する立ち居地にある。ヨーロッパ中央銀行ECBへの出資金20%が物語っている。有力国フランスのビューロクラシーがどれだけ隆盛になろうが如何ともしがたいのは明白である。
 ヨーロッパ連合(EU)に所属しているイギリスの外交政策が独自性を帯びているように、ドイツにあってもユーロに縛られているということは無い。リビア攻撃は英米仏主導で行われた。ロシア、中国が安保理決議を棄権するなか、ドイツは態度を鮮明にしなかった。シリア問題におけるアサドのケミカル兵器使用への非難決議にもBRICS側に立ちG20での署名には加わらなかった。
 
  今回の選挙ではメルケルのCDUは前回の投票率33.8%から41.5%と大きく躍進した。他国のために無尽蔵の援助は出来ないというスタンスのもと、南ヨーロッパにはこれまで以上の緊縮を打ち出し、制度面でも、ルーズな国の予算規律を監視しうる取り決めを打ち出し始めた。その方向性はドイツ国民から一定の支持を得たことになる。
 
  ユーロからドイツは離脱すべきと主張するAfDは議席獲得の5%には届かずその値は4.7%であった。しかし、この値は無視するにはとてつもなく大きな数字である。
 
  ドイツの伝統であるロシアという東方を見る視線は、今後の外交政策に色濃く現れてくるのかもしれない。