さりげなくニュース2012.8.05

 
 シリアの反政府軍がこのところめきめきと軍事力をつけてきた。押せ押せムードの感がある。
 
 7月10日YouTubeで放映されたシーンは生々しいものであった。シリア政府軍の戦車と思われる一台が炎上している。肩にのせて手軽に発射できる対戦車攻撃兵器であるRPGによるものだ。トルコとシリアの国境地帯にあるアレッポの郊外で打ち込まれた。
 
 反政府軍には、兵器が続々と運びこまれている。それは、トルコからであり、サウジアラビアやカタールからである。もちろん黒幕はアメリカであることは明白ではある。反政府軍の実働部隊は、かのオサマ・ビン・ラーデン率いていたアルカイダである。ちょっと意外なのは、アルカイダは常識的にアメリカの敵であり憎むべき敵ではなかっただろうか。ここが、アメリカのアメリカらしいところであり、黒も白と言い換えて国際世論を我が物に出来る能力のある国であり、すごいところである。アルカイダは、ソ連のアフガニスタン侵攻の際、その攻撃要員としてアメリカにより訓練されたアラブ、スンニ派の過激組織である。その戦闘要員をバックアップしているのがロックフェラー系の外交問題の頭脳であるCFRである。その子飼がキッシンジャー元国務長官でもある。それにソ連の衛星国グルジアや、ウクライナの革命騒ぎに関与したといわれているマネーファンドの神様のような存在ソロス率いるソロス財団が加わっている。いずれもユダヤ系でもある。そこに利害が一致するのはイスラム同胞団である。エジプトはスンニ派のイスラム同胞団の大統領となった。この同胞団がシリアの政治的方向付けを担うことになる。
 
 シリアは、人口の15%しかいないシーア派系列のアラウィー派が支配している国である。
 
 このような布陣で攻め込まれるシリアのアサドが葬られるのは時間の問題と見られる。しかしロシアのプーチン、元KGBという情報機関のトップを張った人間にアメリカの行動が見えないはずはない。これが、メドベージェフ元大統領とは決定的に違うところである。
 
 ロシアがアサド体制を支え続ける真意は外部に明瞭には見えてはこない。それは、アメリカの意図がどこにあるかということと対なのかもしれない。ロシアの恐怖もさることながら、中国も安閑とはしていられないエネルギーがからむ問題でもある。
 
 現在の中東はサウジを初め中東産油国の大方はアメリカが抑えている。その不安材料は、シリアを初めとするシーア派がアメリカの傀儡国である産油国のシーア派国民と連帯行動をとる将来の懸念である。その芽は早いうちにつぶしておくに限るであろう。イラクはアメリカの撤退で現在はシーア派の政権である。アメリカは戦争では敗れはしたものの、シリアを足がかりにイラクを揺さぶりたいはずだ。シリアがスンニ派の政権に落ちようものならばレバノンの攻撃性は完璧に牙を抜かれることを意味する。それで最終的もくろみであるイランを傀儡化できれば、アメリカの中東支配は完成することになる。この時は同時に中国へのエネルギー生殺与奪を握ることになる。これしきはとうにプーチンは百も承知している。7月10日北方艦隊所属、攻撃軍艦Admiral Chbanenkoを水陸両用突撃船3艘とともに地中海沿岸に派遣した。シリアを海外からの攻撃から守るという意志の現われだ。三ヶ月間展開する模様だ。