さりげなくニュース2012.7.22
中国経済は、デフレ経済に突入したのであろうか。経済成長率8%は、一党独裁政権を正当化するうえで、必要にして十分条件であった。それがここにきて、あっさりとその目標を引っ込めた。
成長に陰りが見えたからといっても、世界経済のビックプレイヤーであることには変わりがない。
2012年に中国がアメリカを追い越したものは、工業生産高であり、エネルギー消費量や、自動車販売台数である。IMF国際通貨基金の試算によると、2017年には購買力平価ベースでアメリカを追い抜く。
デフレで悩まされたわが国の1990年代が思い出される。物が売れないのは売れるものを作らないからだ、などと、議論は百出した。今中国に同じような症状が垣間見られる。
中国巨大バンク四つの資金需要に見ることが出来る。この六月は1900億元と、この五月の2530億元から大きな落ち込みとなっている。生産のキャパが需要を大きく上回りだしたことが疑われる。
中国経済を手っ取り早く知る手がかりとして、マカオのカジノ売上に注目するのも一つの代用的見方と言われている。この六月のあがりは11%のダウンであった。
つい先頃まで、経済の過熱を冷ますかのように緊縮政策をとったかにみえたが、ここにきて温家宝の発言は積極的な方向に変わってきた。下降ぎみの景気を下支えするために、積極的財政出動を言い出し始めている。
グローバル経済がパチパチと線香花火のように元気がないことも一因となっているのかもしれない。
ヨタヨタしているユーロ圏17カ国に中国のデフレ輸出の圧力は脅威である。頼みのドイツ製造業も一時の元気はなくなってきた。メルケル首相は国内法に違反してもユーロ圏を救うことに躍起とならざるをえない。各国の銀行に直接に資金を投入するといった方向に進みだした。
中国はヨタヨタしているユーロ圏にデバリューション手法で、すなわち元を低めに誘導して輸出攻撃をしたいところでもある。
このヨタヨタ度は半端ではない。ユーロ圏17国平均の失業率は11.1%と1995年に統計をとって以来最悪の数字である。また製造業の景気指数というものがある。その数字は、50が拡大と縮小の分かれ目の値である。ユーロ圏は46.4と弱ぶくみである。アメリカも50を少し切る数字と成っている。
中国十大造船所の八つまでもが、今年に入ってからの五ヶ月間に、新規受注が零であった。どこもかしこも、生き延びがかかっている。ご多分に漏れず中国のこの六月の貿易黒字は320億ドルと43%も伸びた。
最近中国のアキレス腱が大きくクローズアップされだした。それは、わが国にも言えることかもしれない。一人の女性が一生に産む子供の数の平均値のことである。この合計特殊出生率が中国では1.56である。比較の意味でアメリカは2.08である。いずれも2010年のデータである。これしきの数字がなんぼのもんじゃとは、いいっこなしである。年数が経てば経つほどにボディブローのようにきいてきて、気づいたときには取り返しのつかない、国家、しいては民族の存亡の危機となっているはずだ。ちなみに上海のその数字は、0.6と世界で最低の数字である。
(余談になるが、若い娘さんが赤子を抱いている場面に出くわして思うことは、彼女の裕福さと、環境の良さに感心するとともに、子供を持てるそのことは、選ばれたものへの贈り物であろうという感が正直なところである。せめて、こんな感情とはおさらば出来るようでありたい。)