さりげなくニュース2012.6.24


 シリア情勢は緊迫度を増してきた。暴力の激化で国連の監視団は撤退を余儀なくされた。
 
 アナン特使の調停案が受け入れられた4月以降、暴力の連鎖は一旦止んだかに見えた。しかしここにきて、事態は、一層の深刻さで推移している。シリアは内戦に移行したと認定されている。
 
 横道にそれる。わが国の消費税、増税問題は、高橋(オーム最後の逃亡犯)逮捕というニュースの前に色あせたかのように、坦々と、与野党協調のもとに推し進められた。わが国の統治術も板に付いてきたような印象を与える。テレビ、新聞等のメディア操作をうまくやることにより、国内反対派の過激な騒動を未然に押し込める。手際のよさは脱帽ものである。
 
 話を元に戻してみる。シリアの深刻さは、ロシアと西側NATOによる代理戦争の色彩を帯びつつある。ここにきて、ロシアは極端なブラフを噛ませつつある。兵器に関するものだ。
 
 ロシアはシリア政府軍に対して最新兵器を供与するという姿勢を見せていることである。実際に供与がなされるかどうかは別にして、内戦の行くえに影響を及ぼすことである。それは、レーダー誘導ミサイルPantsyr−S1、飛行機を打ち落とすためのBuk−M2、それに陸から船を沈めるためのBastionである。これは、180マイル約300キロ近くの海域の船をターゲットにできる。
 
 この動きに対してヒラリー米国務長官はロシアを非難している。このアメリカ側の非難に対してロシア側は、アメリカを偽善者呼ばわりして、その非難に応えている。アメリカは自国の第五艦隊の司令部がおかれているバーレーンの騒動に対しては王政側に武器を与えているではないかという発言である。バーレーンがどんな位置づけの国であるかは言わずと知れたことでもある。多数人口を占めているシーア派の反乱で王政が転覆でもされようものならば、宗主国であるサウジアラビアへの影響は甚大なものと成る。サウジアラビアの東の地区、石油を生産する過半はシーア派の住む地区である。バーレーンから反乱の嵐がこの地区に感染しだしたらサウジアラビアの治世も根底から不安定なものとなってしまう。だからサウジは、軍隊を派遣してバーレーンの反乱を押さえることになる。このことを指して、ロシアはアメリカを偽善者呼ばわりしている。
 
 話が横道にそれる。わが国の物事を見る立ち位置は、アメリカ側をすべて受け入れればいいから苦労はない。アメリカは戦争後の統治で唯一成功した事例はわが国である。最近の中東での統治はことごとく失敗している。このような違いのあるわが国が中東を理解は出来ないし、覇権思考を完璧なまでに放棄したために、世界情勢のゲームに参加することさへも放棄したかにみえる。このことは、今後、国の躍動という面から経済面への悪影響が心配されよう。他国の善意に国の運命を委ねようとした当然の代価である。
 
 話を元に戻す。アメリカはアサド後について同盟国と協議に入った模様だ。反体制派の中心的グループであるシリア国民評議会(SNC)は提携している軍事組織、自由シリア軍を背景にマイノリティの不安を払拭しなければならない。アサドが崩壊することによって不安にかられる、クルド、キリスト派、アラウィー派の少数派に対するものである。
 
 今後の展開は、国連安保理の議決なしでのシリア攻撃は行われるのか。それは、リビアを攻撃したように、NATO軍によってなされるのか。