さりげなくニュース2012.5.27
1000年の栄華を誇った水上都市ヴェネチィア。そのヴェネチィア展は宮城県美術館で開催されている。現在そのイタリアは国債利回りが危険水域の7%に達し、これ以上の借金は難しい状況になっている。これは、ユーロ圏の他の国々にも言えることでもある。
海外との貿易に冒険をなし、裕福な貴族生活をぷんぷんと撒き散らしたヴェネチィアの面影は、この美術展でいかんなく知ることができた。こんなヨーロッパが今なぜに苦境に陥っているのか。若者の二人に一人は失業し、給与が700ユーロ(7万円)世代と、ここ何年間も言われ続けてきた。
ギリシャに対しては、いろいろなことが言われ続けてきている。特に勤勉なドイツ国民から言わせれば、ギリシャは眉唾ものであるのかもしれない。年金が現役時代の給与の96%ももらえる。それに支給年令は58歳である。公務員の全就労者に占める比率は25%である。しかも、待遇たるや民間に勤める若者の、倍の給与である。若者の手取りが平均12万円のところ、公務員の手取りは24万円であり、しかもリストラはない。これだからギリシャはなっていないと批判された。おまえらに言い渡すことは、もっとしゃきっとせい。そうしたら金を援助してやる。これがドイツの言い分でもある。ところが先の選挙でギリシャ国民は別の選択をした。緊縮に反対する急進左派連合SYRIZAに大躍進の52議席(300議席中)を与えた。彼らはフランクフルト(ドイツの主要都市)糞食らえといわんばかりに、いざとなれば当面の援助願いはロシアへと目は向いている。
現在ユーロ離脱へと伝染しかねない国々は、ギリシャを筆頭にスペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランドである。フランスの場合、国債の利回りが7%台に乗った時点で、まちがいなくユーロから離脱するものと考えられる。ただドイツの出方次第と言う事に成る。
今危機がさけばれている国々は、ユーロに加盟したことによって強い通貨の恩恵を得て、いくらでも借金をかさねることが出来た。そのつけが、今重くかぶさってきている。そこにリーマンショック以後ユーロはドルに対して8%、円に対して30%強下落することになる。これは、輸出産業がGDPの40%近くを占めるドイツには有利な状況となった。ギリシャなどの観光に依存する国々にとっては大打撃となった。ドイツの一人勝ちは、ドイツが勤勉で、ギリシャが放漫だからという理由ではかたづけれない問題をはらんでいる。
ギリシャが少しばかりの債務免除をしてもらっても、対外債務250兆円(GDPは30兆円)は、永遠について回ることになる。緊縮に走り、国民を絞りに絞りきっても、はたして債務が軽減していくのかという問題がある。1990年東西冷戦が終結したポーランドを訪れた旅行客は見た。日本では500円はするランチがたったの5円で食べれた。ギリシャはこの手法を取りたいはずだ。ギリシャの通貨ドラクマにもどして、通貨の価値を十分の一とは言わないまでも、半分ぐらいまでデバリューションして国内に投資を呼び込み、また、格安での観光を目玉にすることもできる。国民をボロ雑巾のように絞りに絞って、借金返済に尽くすのがいいのか、それとも発想の転換をしてユーロ離脱、デバリューションの方向にすすむのか、まもなく結論が出されようとしている。それに続いてユーロ離脱国がどっとでてくるのか。そして、国際社会への悪影響がどれほどのものとなるのか、予断を許さない状況と成ってきている。
(PS 「小沢事件の本質」はネットにアッ プされております。
http://yumin.tyo.ne.jp/12.5.14.html)