さりげなくニュース2011.9.11

  ポーランド経済は、EU圏内で順調な経済を持続している。この国は、イギリスと並んで、EUの加盟国ではあるが、統一通貨であるユーロには加わってはいない。
 
 国内の景気が悪くなると、自国通貨を弱くして国際競争力をつけ、経済を立て直そうとする。ポーランドの通過ズウォティは、まさに自国通貨を低めに設定するデバリューションの手法で輸出産業は盛り上がっている。
 
 一方自国通貨を捨ててEUの統一通貨であるユーロを取り入れたスペインやギリシャなどは国家危機の状態に陥っている。財政の健全化を義務付けられGDPの3%以内でしか国の借金である国債を発行できないという足かせをはめられている。経済飛躍しようにも、如何ともならないジレンマに陥っている。
 
 共通経済圏創出には、功罪両面があって、EUの主要国ドイツやフランスのように、経済圏内の安売り競争の洗礼をうけなくてもいいという利点がある。だが人件費の安い所に生産資材は移動する。それは国内の雇用に悪影響を及ぼすことになる。
 
 EU、現在16兆ドルのGDPは、アメリカの14兆ドルを凌駕している。ヨーロッパ、キリスト教国27カ国の壮大な統合実験は、瀕死の状態にありながらも継続している。
 
 資本主義の宿命でもあるのか、97年のタイを発信国としたアジア金融危機は、アジアの通貨が経済状態に比較して高く評価されすぎたという認識の下、ヘッジファンドによる売りを浴びせられ、それを買い支えることができず引き起こされた。投機の餌食となり、国内経済は翻弄されることになった。
 
 ヨーロッパ経済統合は、財政規律を重んじ、投機筋の付け入る隙をあたえないという面では功罪では利点である。
 
 ヨーロッパ経済統合が経済だけではないと言う証明は、徹底的にトルコの加盟をこばんできたことにある。イスラム国家であるトルコはEUへの加盟を懇願し続けてきた。しかし、主要国フランスとドイツの賛同は得られず、加盟問題はいっこうに進んではいない。最近ではトルコ内においてイスラム回帰への動きが加速しだしてきている。
 
 今後、東アジア経済圏統合の動きが立ち現れるのか、それは分からない。ただ15億人の人口はEUとアメリカを加えた8億人より多い。GDP合計で12兆ドルとアメリカの規模に匹敵する。
 
 東アジア経済圏が統合していくために解決が早々に求められるのは、火薬庫としての朝鮮半島問題であることに異論はないはずだ。GDP1兆ドルの韓国経済が推定300億ドルの北の経済を底上げする義務が韓国にはあるはずだ。
 
 次期韓国大統領に呼び水の高い与党ナンハラ党の朴(パク・ゲナハイ)は、フォリンアフェアズに「朝鮮の新たな本質」(A New Kind of Korea)という一文を載せている。彼女の母親は74年在日韓国人、文世光によって、北の指令に基づいて暗殺されている。父は大統領として5年後の79年に暗殺されている。その娘である朴は、北との融和に思いをよせている。
 
 昨年11月、北によるヨンピョン島攻撃は心を痛めたが、アジアの平和が、重要で最緊急課題だと認識している。
 
 余談になるが、この攻撃の10日程前に、韓国はG20のホスト国として、世界にれっきとした地位を印象づけた日でもあった。