さりげなくニュース2011.4.30
2009年はアメリカの失業問題が大きく取り上げられた。前年の6.5%から一気に10%台を超えた。2010年にはヨーロッパの債務危機が叫ばれた。2011年になると再びアメリカに戻り、ドルの危機が叫ばれている。
オバマは、量的緩和政策を大胆に推し進めてきた。その当然の結果がドル危機に繋がってきている。
アメリカが1929年の大恐慌で得た教訓とは何だったのか。フーバーは市場任せの政策を採り続けた結果、失業率は25%を超え、株価は紙屑と化すまでに暴落し、銀行は四桁に上る閉鎖をみた。それでも市場に任せれば神の手が調和よろしく正常に戻ると考えた。しかし、アメリカの教訓とは、不況を放置したらどこまでも不況の魔の手は、留まるところを知らずに襲い掛かってくるというものであった。この点で言うと、オバマの政策は、ルーズベルトのニューデール政策の思考法である。
ドルがユーロや円の通貨に対して、軒並み値を下げ続けている。この恩恵を強く受けているのが多国籍企業である、IBM、インテル、ユナイテッド・テクノロジー、ハニーインターナショナル、ジョンソン・ジョンソンである。一方米国市民が、ドルを持って小旅行をしようものなら、とても高くついてしまう。かれらの最低賃金は据え置かれたままでの、時間当たり7ドル25セントである。ドル83円で計算してみると601円である。わが国の最低賃金、山形県で645円である。都心部では、700円近くはいっているから、日本の労働者より、ひもじくなっていることを、数字は示している。またアメリカの一般市民にとって、ガソリンなどの資源が高騰しだし、食料品などの一次産品の値上がりも、ずしっと響く。アメリカのポルトガル化と言い出す者も出始めている。
オバマは、毎年100兆円を超える財政赤字を覚悟の上で古典主義経済と決別しようとしている。
過去の大恐慌からの脱出には、ルーズベルトの需要拡大政策も、もちろん効を奏したが、きわめつきは、世界戦争で欧米への資材その他の供給によって、アメリカ経済は決定的に潤うことになった。
オバマのリビアへ仕掛けた戦争は、軍産複合体の予算拡大に益するところは大きいが、世界大戦時のときのような他国への資源供給とは、意味が異なっている。
戦争を放棄すると宣言して大統領になったオバマは、リビアに軍事行動を起こしたことにより、イスラム世界との和解は、決定的に不可能になってしまった。
リビアの東部、反体制側は、イスラム同胞団やヒズボラとも提携できる集団を含んでいる。イランなどは、東部に武器を与えよと欧米に劇を飛ばしている。反体制側の東部がカダフィーを倒したら、次の政権はイランよりになると見られている。石油を欧米に売りたくはない、中国やインドに売りたいというカダフィーを欧米は憎み、倒そうとしているが、サウジともぎくしゃくし出したアメリカのアラブにおける力は、紛れもなく落ちてきている。
格付け会社スタンダード&プアが、アメリカの財政赤字がこのまま推移するなら二年以内に、トリプルAから下げると発表した。多方面へ波紋を投げかけている。
ドルに変わる通貨がまだ見当たらない現状ではアメリカのデフォルト(債務不履行)は、ありえない。プーチンが、安いドルを世界に撒き散らすアメリカの政策を評して「フリーガニズム」と言おうとも、アメリカは、グリーンバック(ドル札)を刷り続けることが出来る。