さりげなくニュース2011.2.27

   中東の混乱は、チュニジアから始まって、中東では大国であるエジプトへと伝播した。両国ともデモ隊により大統領は失脚をみた。

   アメリカは、当初、エジプトのムバラクを支えていくのか、それとも切り捨てるのか動揺した。最終的には切り捨てることを選んだ。
 
  イラクの当時の大統領であるフセインはアメリカの言うことを聞かなくなったために攻め滅ぼされた。ムバラクにあっては、イスラエルとアラブとの架け橋として従順な人物であった。その点では、まだまだ利用価値があったはずだ。(アメリカのイスラエルに対する直近のスタンスは、18日の国連安全保障理事会での、イスラエルのパレスチナ占領地への入植を非難する決議案に対して拒否権を行使した。他の14カ国全部が賛成した案でもあった)。
 
  イスラエルとアラブの関係という最重要課題がありながら、和平条約の立役者ムバラクを見捨てたアメリカがあった。
 
  チュニジアから騒動はドミノ現象化しだした。リビア、イエメン、バーレン、サウジアラビア、ダマスカスまで及んでいる。神権政治のイランでは、この一連の騒動に便乗して、反体制派のデモ行動が勃発している。
 
  カダフィーのリビアでは、カダフィーの保安部隊によって18日現在100名前後の死者を数えている。アメリカ第五艦隊司令部が置かれているバーレーンでは18日現在5名程度の死者である。オバマ大統領は、当局に対して自制を求める談話を発表している。全体的に静かである。考えられることは、この一連の騒動は革命という風に銘うっているものの、まもなく鎮静して、なにもなかったかのように、いつもの平穏を取り戻すことになると考えているのかもしれない。バーレーンという小国はわが国の鳥取県と似たようなGDPの国であるに過ぎない。大騒ぎするには小国すぎる。バーレーンは、これまでこの種の騒動を数限りなくこなしてきた国でもある。その成果として、男女平等の参政権を勝ち得て、それに二院制のもと立憲君主制をとり、他のアラブ諸国よりも一歩も二歩も進んでいる。
 
  他のアラブ諸国の若者は、職を求め、自由を求め、民主政体を望んでデモに繰り出した。そこには、イデオロギーの片鱗も見えない。はたして、エジプトのムスリム同胞団が、今後イラン型の神権政治へと舵を切るのか。アメリカが緊張するのは、イスラエルを念頭に置いたアラブのイスラム化の動きに対してである。
 
  ツイッター、フェイスブックといったコミュニケーションツールを駆使して立ち上がった若い層に、はたしてイデオロギー的基盤が芽生えうるのか。
 
  人口の60%が30歳以下で占められるアラブ諸国が目指すのは、イラン型ではなく、トルコ型であろうという見方が強くある。
 
  わが国では、子供手当てと称して年間14万円程支給しているが、バーレーンでは国民全員に2,700ドルのボーナスを支給することを決定した。ちなみにクウェートでは3,000ドルである。リビアのカダフィーの場合には、政治犯の家族からの非難の声があがるや、自らショベルカーに乗って刑務所を壊しにかかるパーフォーマンスをなす。民意のためにはどこもかしこも涙ぐましい努力をしている。
 
  まったくの余談になるが、仮免許の政権が権力の密を一度味わうや、その虜になることは、容易に想像できる。わが国でムバラクの十分の一の5.000億円くらい握らせて 、ある人物におもっいきり政治をさせて見たいと思うのは不謹慎であろうか。
 
  ロシア首相プーチンは、何人を殺し、政敵を何年牢獄に閉じ込めているか。しかし、7割近い支持率である。これをどう読み解けばいいか。