さりげなくニュース2011.1.30

    中国胡錦濤国家主席の訪米が、今月行われた。18日の訪米に先立ち、胡錦濤氏は、米2大紙に対して、書面インタビューに応えている。
 
 中米が和すれば共に利し、戦えば共に傷つくの言葉を発した。
 
 今回の会談は、旧覇権国家アメリカに中国が新覇権国家として、名乗りをあげた時期と捉えることが出来る。これまでオバマ大統領はチベット問題や台湾への武器輸出問題で、あの手この手の、ジャブを繰り出してきた。ところが今回、中国の強く主張する台湾に関しては、中国の主権にチャチャをいれないと認めた。
 
 アメリカは完全と中国の覇権を認めたわけではない。しかし旧覇権国家の力量は色あせつつある。
 
 北朝鮮問題で北は中国のシステムの中に組み込まれている。北のミサイルがアメリカ本土に到達しそうだが、アメリカは脅威を感じながらも、独自に手を出すことができないジレンマにある。アメリカは中国に対して、北を上手にコントロールしないならば黄海に、アメリカ海軍を倍増させると、圧力をかけるのが精一杯である。
 
 ホワイトハウスの歓迎とは裏腹に、プライベイトな国会議員との顔合わせでは必ずしも歓迎ムードではなかった。アメリカ側には、中国の通貨元が弱すぎて、アメリカに失業を輸出しているという強い不信感がある。それへの現実的行動として、関税をかけることの動きが国会にある。
 
 アジアのなかでの中国は大国としてリーダーシップを発揮するであろう国として、つい最近まで見られていた。ところが南シナ海に進出する中国の剥き出しの強権の前にフィリピン、インドネシア、ベトナム、韓国、わが国は、不信感を募らせた。中国の大国としての振る舞いは稚拙なのか、あるいは、国内事情に何かあるのか。
 
 中国国内で、昨年10万件のデモが発生した。日本の人口に換算すれば、わが国で1万件発生したことになる。異常な国内状態ではないか。
 
 1975年にソビエトの都市を訪れた旅行者は、そのすばらしさにアメリカの都市を二重写しにしたと言う。だが20分も郊外に歩を進めるや、別天地の貧しさであった。それから15年後にソビエトは崩壊した。
 
 一億人の富める階級が10億人の貧しい層を、これからずっと封じ込めておくことが可能なのか。政府系役人の腐敗は、わが国の天下りの比ではない。ポピュラーソングがすべてを表現している。仕事中でも新聞は読めるし、ティーも飲める。タバコ代やアルコール代は他人持ち。ここまでは、なんらわが国と変わらない。決して自分の金は使わない。食料もただ。昇進のためには上司のケツにキスしさえすればいい。だから私は役人と結婚したいのよ。という歌詞である。
 
 中国の病理は腐敗をさておいて、高い失業率とインフレをコントロールできていないということ。一旦自然災害や人的災害が起きたとき、対応の失敗如何によっては大暴動へと、いつ暴発してもおかしくないということである。携帯電話やインターネットの普及で、人々の組織化は瞬時になされる。これに独裁権力がうまく対応しうるか。はなはだ疑問である。
 
 特権階級は、それらに備え国外に土地やビジネスの拠点を構築する動きに出ている。パスポートの携帯は常識である。