さりげなくニュース2011.1.16

   今月下旬に、胡錦濤中国国家主席はアメリカを訪問して、オバマ大統領と会談する予定である。
 アメリカは中国に接近している、とは10年前から言われてきていることである。今まさにその感を強くするところである。中国のGDPがアメリカに追いつくのは数十年後と、秒読みの段階に入ってきている。
 
 中国の軍事予算はアメリカに次ぐ規模となっている。押しも押されない軍事大国となった。
 
 大量破壊兵器としては、安上がりな核に関して、廃絶のスローガンがオバマ大統領により宣言されたりもした。だが、理想の実現までは程遠い状態である。中国の核がアメリカを破壊出来る能力を得た段階で、両国は、お互いが先制攻撃をしないといった取り決めや、不測の事態に対する備えへの取り決めをなすことになる。こういう意味で両国は世界の安全に対するビッグプレイヤーということになる。
 
 一転、目をわが国に転じてみるとき、ここ10年、わが国のGDPは横ばいである。人口比率における老人人口が増え、ダブルパンチとしての少子化が加速し出している。短絡的にアジアから単純労働者を1000万人単位で入れればいいという話ではない。わが国の精神力が低下しだした兆候があちこちに出だした。
 
 トヨタ中興の祖奥田氏がトヨタの売上を全米で一位にする試みに反対した。案の定アメリカによる攻撃があった。トヨタ社長の痛々しさが目にしみた。隷属国家への風当たりとはどういうものなのかを暗示するものであった。
 
 中国人を筆頭にアジア人に対しては軽蔑し、欧米人好きのお国柄であるわが国の方向は、アメリカが国際的にどんな悪事をしようが、このアメリカについて行く。この病理は歴史上のどこらへんに根ざしているかの考察もないがしろに出来ない点かもしれない。
 
 わが国の精神力の低下はあちこちに散見される。日本国債が近い将来暴落するであろうと言われている。では、消費税を上げて財政基盤を磐石にするのが手っ取り早いと考えて済む話ではなさそうだ。単なるケインズ型政策ではどうにもならなくなってきている。では、仕分けで無駄遣いをなくしましょうとか、子供手当てを厚くして土台作りからしっかりしましょう。なんとも小粒になってきている。もはや政治イノベーションといった大掛かりな発想を視野に入れる人物の登場を待たなければ如何ともならない桎梏のなかにある。
 
 30年戦争でヨーロッパは、400万人もの死者をだしたドイツとフランス。この憎しみからEUへと漕ぎ着けた。この英知をこのアジアに生かせないかと考える者が出てきても不思議ではない。
 
 先ごろアメリカの失業率が少し改善したというニュースが入った。だがサブプライムローンの傷の処理が済んではいない。焦
げ付き住宅一千万件が売りに出ているが毎年80万件ペースでしか処理し切れていない状況である。もう一つの不安材料は、中国の格差問題に端を発するインフレである。中国政府は、農民から土地を安く奪い、それを高値で商業土地化することで利益を得てきた。だからインフレが大好きなのだ。だが不動産バブルは無視できないところまで来ている。土地購入費が年収の20倍がざらである。わが国のそれのときでも8倍から10倍であった。異常である。