さりげなくニュース2010.9.26
今月、モザンビークの暴動で10名の死者が出た。ロシアの穀物輸出禁止が原因であった。このところ穀物価格は6月以降2倍に値上がりしている。
2年前、食料輸入に依存するエジプト、インドネシア、アフリカ諸国を襲った食糧暴動が生々しく蘇る。
サブプライムローンの空売りで一儲けしたファンドは流行のように土地を買いあさっている。資源や水のある土地を求め、しかも生産はしない。世界銀行の報告書では開発途上国で2009年に購入された土地は450万ヘクタールに上り過去10年間で10倍に増加した。
国際稲作研究所の予測では、2025年の米需要は1990年の1.7倍である。この間、世界の人口は1.5倍の85億人に達すると見ている。
食糧はさておき、資源に目を向けると日中間に癌細胞のようにわだかまる尖閣諸島問題がある。9月7日、国土交通省の外局である海上保安庁の巡視船が中国の漁船を拿捕した事件である。わが国はこの島を実効支配している強みがある。ところがこの地域にはイラク並みの石油産出量が期待されるに及び、中国が領有権を強く主張し始めている。この問題は、1978年ケ小平が日中平和友好条約締結のため要人としては初めて来日、その際尖閣諸島問題は将来に棚上げすることで了解した事柄でもある。
わが国は、この問題では相当に神経質で、これまで海上保安庁の巡視船は香港の抗議船を沈め、2年前には台湾の船を沈没させている。そのつど賠償を支払ってもいる。中国側も操業する自国の漁船を守るために準軍事的監視体勢を敷いている。ここに両国の軍事的最前線が向き合うことになった。
この中国漁船拿捕事件のタイミングをどう読み解けばいいのか。7日といえば民主党代表選の一週間前である。簡単に図式化すれば、中国寄りの小沢氏に対して、アメリカ従属派の大本山である外務省の意を汲むであろう菅氏との一騎打ちである。それに拿捕の最終決定権者は国土交通大臣である前原氏である。かれのスタンスは我が列島を浮沈空母となす発言の中曽根氏以上の対米野心家と想像される。上手に米国の意を汲むことができれば次の首相の座を用意されるであろうエージェントとしての人物である。こういう背景を加味してであろうか、中国の怒りはすさまじい。手始めに一万人の日本への入国を取りやめるという経済的プレッシャーをかけてきた。
現政権が短命に終わる可能性が半々である。理由は、アメリカの中国への気の使いようを詳細にみれば感じられることである。アメリカは、中国通貨元の価値が20%は低いと見ている。通貨操作国家であると見ている。それに対して関税やその他のペナルティを課すべきだとの意見が根強い。しかし、中国市場の魅力はとても捨てがたい。それに最大のアメリカ国債の保有国でもある。軍事大国である。両国はいくら対立しても、あるところに落ち着く。中曽根氏の時代の弱いイメージの中国ではないことをしっかりと知るべきである。自民党延命政権である小泉氏の親米、はしゃぎすぎ的なるものは、両国から見て軽蔑ものであり、アメリカが介在した対中国関係では梯子をはずされ孤立する危険は十分に予想される。わが国は、この未熟な政権の下、今後の進路にとって難しい局面に差し掛かった