さりげなくニュース2010.8.08
人口の99%がイスラム教徒であるトルコは我が国とも良好な関係にある。先頃イギリスの新首相キャメロンはアンカラでスピーチをなした。トルコが熱望してやまないEU加盟に関して、EU内で投票したらどうかと切り出している。
8,000万人のトルコ人がイギリス空港でビザ待ちをなすのは屈辱以外の何者でもない。そんな気持ちがEUの仲間入りをしたい本音なのかもしれない。どっこいリスボン条約は色濃くヨーロッパのキリスト教起源に彩られている。ムスリムでは、メンバーにはなれないと、トルコ自身も薄々感じているのかもしれない。
キャメロンのリップサービスもむなしく、最近のトルコはイランにたいする西側の制裁に対しては、否定的な発言が閣僚の中から出てきている。イスラエルとの関係では、ガザ地区に向かった支援船がイスラエルの特殊部隊により襲撃され、トルコ人の乗組員が死亡するという事件があった。ユダヤ国家の破壊を宣言するガザ地区のハマスとイスラエルとの関係にあっては、イスラエルとは考えを異にするというスタンスを取る。
だいぶ横道にそれてしまった。
イスラムの国家がキリスト教国家に歩み寄る姿がトルコに見て取れる。イスラム国家の中で
唯一死刑の執行を停止している国がトルコである。
コーランに定める重罪では首や手足を切断する刑が定められている。更生刑を主体とするキリスト教系の法体系とは間逆である。
この7月二人の死刑が執行された。民主党の法務大臣千葉景子の執行命令によるものであった。ちょうど一年前の法務大臣の時に三人が執行されて以来である。現在死刑執行を待つ者の数は、107名である。死刑執行の意義を石原東京都都知事の言葉を借りるならば、個人の仇討ちを国家が代行しているのだ。ということになる。だが世界の趨勢からは外れてきている。
死刑執行をなしている国の顔ぶれをみてみる。アムネスティ・インターナショナルの2009年度資料によると、断トツな執行数は中国の1,000人規模である。この数はあくまでも概算でしかない。中国にとっては国家機密の一つなので数を公開してはいない。なぜこんなに多くなるかは、死刑の罪に役人への賄賂や国家遺産の窃盗などをも含めているためである。しかし、中国政府は近々法改正をなす方向に動き出している。
イスラム系で断トツに死刑執行が多いのはイランである。2009年には、400人近くが執行されている。最近世界を賑わしたのは、40代の美人未亡人の姦通に対して石投げの刑の判決。ニュースのネタになった。この刑というのは首まで土に埋め、その首をめがけて石を投げつけて殺害するという、とてつもなく酷いものである。国際的視線もあり今回の場合は絞首刑に落ち着きそうである。
先進国で死刑を執行している国はアメリカと日本ぐらいである。
世界で死刑存置国は58カ国と少数派である。制度としてはあるが、実際に執行していない国としてロシアや韓国があげられる。現在死刑を執行している国のほとんどはイスラムのシャリア法の国々と、虐殺で一世風靡したシェラレオネや北朝鮮、日本、アメリカである。あらゆる犯罪に対して死刑を廃止している国は95カ国である。