さりげなくニュース2010.4.25


  我が国の外務省は機能停止をしている。核サミットに招待された鳩山首相は米大統領オバマとの会見を申し込むものの、まともに相手にされず、10分位の会話の交換に終わった。核の会議が主目的で普天間基地問題などは、二の次であるアメリカにとっては当然の態度であるとひとまず理解可能だ。ところがワシントン・ポスト紙のコラムで我が国の首相は味噌糞にコケにされた。それに対して平野官房長官が不愉快であるというメッセージを発したのみで、正式な抗議と言うものを出さなかった。中国の邦人に対する死刑執行についても何の抗議らしいものも聞こえては来なかった。善人が外国で罪を犯し死刑執行されたならば抗議したのであろうか。善人ですら救われるのだから悪人が救われるのは当然だと、思想を発露した親鸞の教えを引用するまでも無く、我が国の政権は事の本質を熟知しようとする姿勢において希薄さが窺われる。
 
 沖縄返還での密約文書を開示せよという東京地裁の判決がでた。従来の政権では考えられない判決に驚かされた。一方核密約については、一部その文書が破棄されたと騒がれた。歴史文書を、ある時の事務次官を含む数名の幹部の手で葬り去ると言う、外務省のすさまじい実体が暴露されたが、うやむやにして幕が閉じられそうである。
 
 強権国家アメリカのことはあまり誉めたくはないのだが、いいところは素直にいいと言う必要がある。
 
 米証券取引委員会(SEC)は、ゴールドマンサックスを訴えた。その罪状は毒入りの証券を売ったというものだ。サブプライムローンの問題を今に持ち出してきている。SECといえば政府機関からは独立のものではあるが、人事は大統領が任命することになっているから完全に政府から独立と言うこともありえない。オバマの意図が反映しているということは確かだ。この民事訴訟によりゴールドマンサックスのリスクは甚大なものと推測されている。ゴールドマンの株価は13%ダウンし、会社の市場価値損失は100億ドルに及ぶ。(NYT: 18 April 2010)

  ゴールドマンサックスといえば、歴代財務長官を輩出してきたウオール街のトップ金融機関である。それにオバマの資金源はウォール街と言われてきた。その金づるに闘いを挑んでいるのである。ゴールドマンサックス側としては、事実無根とSECの訴えを否定している。
 
 国民感情も大きく作用していた。税金で銀行は救済されながらほとぼりがさめると多額のボーナスを支給する銀行側の姿に国民の反発は高まった。それに金融改革に取り組むオバマが、共和党を非難しながらのプレッシャーを高めていく途上にあったということとも無縁ではないようだ。
 
 最近のウォール街の銀行は担保に裏打ちされたセキリュティのある証券を作り始めている。
 
 話しは前に戻るが、我が国のキリリとした国外への発信力は弱まっている。オバマ米大統領から鳩山首相は、君は私にトラスト ミーと言ったのになんの解決も出来ないではないかと言われた。鳩山首相は協力をお願いしますと言う。どうも我が国は弱体化の進度が日に日に早まっているようだ。比較の意味で中国はどうであろうか。中国の通貨である元は弱すぎるのではないかと言われ、それに対して、中国はよその国からこの問題ではとやかく言われる筋合いはない。我が国が判断して決めることだという姿勢をとる。