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さりげなくニュース10/22

   9日に北朝鮮は核実験実施を発表した。金大中前大統領から引き継いだ太陽政策の見直しを現韓国政府は迫られようとしている。
 90年代の後半、自然災害で100万人規模の餓死者を出しながらも苦難の道を歩み続けて来た北朝鮮はこれまで何度も崩壊すると言われ続けてきた。 韓国にとって金正日体制がどれだけ非人道的であろうともつぶれてもらっては困るというのが本音だ。北は20年以上も前にデフォルトしていて破綻している。だが、政権交代が起こるとか中国のような開放、改革へと進むわけでもなかった。
 経済自体が物を作って外国にそれを売って外貨を獲得するといった経済ではなくミサイル、偽ドル、覚醒剤でもっている経済である。その北の体制が崩壊した場合、米のシンクタンク「国際経済研究所」の試算では統一費用として6,000億ドルを要する。韓国の政治的、経済的影響は甚大なものとなる。 中国にとってもことは同じだ。中国の朝鮮半島政策の優先順位は、次のように見られている。第一番目に半島での戦争阻止。これは北朝鮮が戦争で敗北し、中国は米国の影響下にある国と国境を接することになる。それは避けたい。第二番目は金正日は一応中国のコントロール化にあり、金正日体制が米国の朝鮮半島への影響力低下に有用だという点がある。第三番目として核兵器のない半島を目指す。このことから中国としては北朝鮮制裁は極力経済制裁にとどめなければならない必然がある。かといってロシアもそうだが核支援国家というレッテルも貼られたくはない。2年後にはオリンピックも控えている中国である。
 今回の北朝鮮の核実験は綿密な政治センスを発揮しての実行だと指摘する向きがある。これまで北の核に対してアメリカは明確な軍事オプションを明示してはこなかった。北はミサイル等で揺さぶりをかけながらアメリカのレッドラインはどこにあるかを見切ってきた。
 アメリカの最大の関心事は核の移転問題、核がイランに移転し最終的にテロリストの手に渡ることを一番恐れている。はからずも10日、ライス国務長官は主要メディアとのインタビューで「北朝鮮が核兵器や技術の移転という一線を越えれば、その全責任を負うことになる」と発言している。
 今回の核実験そのものについては軍事オプションはないと推測できる。
 中国にとっては都合のいい、このならずもの国家が崩壊しない理由を問うて、ある識者はスターリン体制との類似点を指摘する。東西を海に囲まれ、南の地雷原という地理的要因に加え、秘密警察の住民監視網と収容所の存在。個人崇拝に立脚した情報閉鎖空間を作り上げている。
 金大中の南北統一シナリオは最初は交流、協力、次いで連邦制へもっていって最後に体制の統一を目指すところにあった。それが北の核実験実施で変更を余儀なくされそうだ。
 北は国際的経済制裁を数年間耐えぬく覚悟をすでに固めているかのように次なるカードを温存し続けている。
 日本列島をカバーする核搭載ミサイルを出してきた時、日本に本物の緊張が走るに違いない。