さりげなくニュース10/08
歴史は繰り返す(ヘーゲル)。二度目は茶番である(マルクス)。
一昨年南部合併協議から離脱した三川町阿部誠町長は今年の1月に合併の申し入れを行った。それが9月には一転、進展中の合併協議中断を富塚鶴岡市長に申し入れた。この背景を次の二つの視点から見ていく必要がある。一つは「俺一人でも生きていけるんだ」という視点。もう一つは地方債務の国の大局的なところからの債務問題としての視点でものごとを見ているかという観点である。
庄内地域で合併しなかったのは北部では遊佐町、南部では三川町である。
「財政力指数」という数字がある。これは町の賄いは自前で稼げるんだという自立の数値である。1となれば地方交付税なんかびた一文いただかなくてもようござんすという値である。以下平成16年のデーターであるが、庄内で一番成績のいい酒田市で0.62の数字である。旧八幡町、旧松山町などは0.2である。この数字がどういう数字なのか計算式にすると非常にわかりやすい。財政力指数=(基準財政収入額)/(基準財政需要額)となる。遊佐町の場合この指数は0.28である。三川町の場合は0.34と旧余目町の0.38に次いでいい数字である。昨年は0.31であった。三川町のこの財政力指数を過去にさかのぼって見る必要がある。平成14年は0.28。もっとさかのぼって平成8年のデーターでは0.26と合併した他の町村と同程度の数字である。遊佐町が平成8年に0.314から値を落としているのとは反対に三川町は伸ばしている。人口が減少ぎみなのは三川町だけのものではないし、老齢人口比率の25.9%も飛びぬけて高い数字にも見えない。公務員の月額平均給与32万円で歳出構成費で19.9%と鶴岡市の16.3%より若干負担増といった程度である。
「俺は一人でも生きていけるんだ」は現在地方交付税約15億6千万円、歳入に占める構成比で34.2%がいただけてなんとか生活保護を受けずにやっていけるとなる。では国の方向性はどこにあるのかを予想せずにはおちおちと時を過ごせないというのも道理である。
現在日本のGDP(国内総生産)は505兆円である。国の1年間の売上である。では反対の借金を洗いざらい書き出すとどうなるのか。普通国債残高538兆円、地方交付税特別会計64兆円、地方自治体債務172兆円、政府短期証券86兆円、財投債110兆円、以上1000兆円近い。さらに予想として財政融資資金特別会計が独立行政法人や特殊法人に貸し付けている400兆円の半分は不良債権化していると推計されている。要は05年一般会計税収見込みが44兆円のサラリーマンが年収の22倍のローンを抱えていると表現できる。個人金融資産が1400兆円あると強がりの財務省の心中は嵐のはずだ。禁じ手のハイパーインフレを引き起こし一気に財政再建への道を進むのか。たとえそうであっても日本人は黙々と耐え忍んで従順であるはずだ。つい数年前ロシアの年金生活の品のいいご婦人がカンからを片手に持ち街頭に出て物乞いする映像が印象的だ。