さりげなくニュース1/15

   今世紀半ばまでの経済力は、アメリカをも凌駕するのではないかと言われ始めた、大国化する中国から今年も目が離せない。
 一昨年五月に発生した上海領事館員の中国側のスパイ工作と見られることによる、領事館員の自殺問題で中国側の対応は尊大なものであった。日本側の度重なる抗議と事実関係の究明要請に対して、中国側の回答がない状態が続いていた。今回の日本側発表に対して12月29日、秦剛副報道局長の発言に、冷えきった日中間の関係を読み取ることができる。「工夫を凝らした悪口で中国のイメージを悪化させる日本政府の行為に対して強烈な憤慨を表明する」というものであった。また、日中関係が危険水域に達しつつある兆候が多々生じている。これまで、「政冷経熱」と言われ、日中関係のギスギスしたものは、特に政治の分野と見られていた。ところがここにきて、1月下旬に東京で開かれる国際通貨シンポジュームへの中国人民銀行総裁の出席取りやめが示された。この会談では、東アジアサミットを受け東南アジア、日本、中国、韓国、アメリカによる経済協力のあり方を議論する予定である。
 これまで日本に対して尊大なまでの言動や内政干渉をしてくる中国。大国の驕りだけでは捉え切れない本質があるやもしれない。
 中国の最大の弱点は人口問題だと言われている。いくら抑制政策をとっても二〇三〇年には十五億人に達してしまう。エネルギー、原料、水の三大資源が人口の増加に追いついていけるか、ということが指摘されている。また人口膨張はロシア極東部が中国に飲み込まれてしまうのではないかと、近年ロシアの不安や警戒感が高まっている。ロシアが恐れる「人口浸透圧」が現実に進んでいる。中国東北部(旧満州)には一億人が住んでいる。隣接する極東地域には約七百万人が住む。極東の対外貿易の八割方は中国との取引という実態がある。
 数千キロの国境線を抱えるプーチンに中国と軍事的事を構える余裕はないはずだ。それが、〇四年プーチンの訪中で胡錦濤との間で中露間の国境問題を画定して、国境紛争を一気に解決したことに如実に現われている。
 日本の中国投資は相変わらず右肩上がりであるが、利に聡いアメリカの対中国投資が〇三年をピークに急激に減っている。電力、石油不足の表面化、労働賃金の上昇、環境汚染によるトラブルの多発など、その対応の遅れや医療水準の低さが新たなリスクとして警戒されてきている。
 産業の弱点は技術の模倣で独自技術、独自商品に力がはいっていない、ということが指摘されている。ブラウン管カラーテレビで生産台数世界トップの企業はあるが技術の固定した商品でのことである。液晶、プラズマなどの薄型テレビの市場拡大局面では技術のない中国に目はなく、振るい落されると見られている。
 ケ小平が七〇年代後半に打ち出した改革・開放宣言は、つまるところ外資を呼び込み、雇用を創出し、輸出を拡大することであった。中国の輸出の六〇%は外資企業が担っているという現実が、何を物語っているのか。